交通博物館その4

国鉄バス第1号車

国鉄バス第1号車
国鉄バス第1号車

No.1 JAPANESE GOVERNMENT RAILWAY BUS
1930年(昭和5)、省営自動車としてはじめて、岡崎〜多治見間に運輸営業が開始されたとき活躍した国産車で、当時使用された7両のうち唯一の現存車です。

この自動車は、わが国の自動車工業の発達を促すため開発された大型バスです。昭和12年3月廃車になるまでの6年3ヶ月間に、走行距離25万kmの記録を残し、初期の自動車工業の発展に貢献しました。

昭和5年当時、国内で使用されていた自動車の大部分は、フォード(アメリカ)やウズレー(イギリス)などの外国車でした。

全長:6,265mm、全幅:1,930mm、定員:20〜30人
機関形式:PM-5形6シリンダー、出力:75馬力(3000回転/分)、排気量:4,730cc

1930年 東京瓦斯電気工業株式会社(現在のいすゞ自動車(株))製
「鉄道記念物指定 昭和44年10月14日」

フォードTT型東京市(円太郎)バス

フォードTT型東京市(円太郎)バス
フォードTT型東京市(円太郎)バス

FORD TT. Model City Bus
H・フォード1世によって1500万台もが大量生産されたフォードT型のバスです。フォードT型1.5トントラックのシャーシに家畜輸送用格子ボディーを改装し急造されたものです。

関東大震災(1923年)の復興に使用されました。東京市内交通の中心であった市内電車が地震によって破壊され市電復興までの交通を確保するため、応急措置として東京市がフォード社(アメリカ)から購入したものです。800台が発注され1924年1月18日から44台で営業を開始しました。

これが都バスの起源となり、このフォードTT型バスは円太郎バスの愛称で親しまれました。

ベンツ・パテント・モートルヴァーゲン(複製)

ベンツ・パテント・モートルヴァーゲン
ベンツ・パテント・モートルヴァーゲン

PATENT-MOTOR-WAGEN BENZ 1885 (Replica)
世界最初のガソリン・エンジン自動車です。

カール・F・ベンツ(ドイツ)が1885年に製作し、1886年1月に特許を取得しました。ベンツが開発した4サイクル式のガソリン・エンジンを、自動車用に設計した鋼管製シャーシに搭載したもので、この三輪車は一部改良され、ベンツ・パテント・モートルヴァーゲンの名で販売されました。

この展示車両は、ダイムラー・ベンツ社が実物の車をもとにすべて忠実に再現して製作した複製(動態)車です。実物はドイツ博物館(ミュンヘン)に保存・展示されています。

ベンツ・パテント・モートルヴァーゲン
ベンツ・パテント・モートルヴァーゲン

ベンツ&ライニッシュ ガスモートレン ファブリック社製(ドイツ)
BENZ & C.RHENISCHE GASMOTOREN FABRIL (GERMANY)諸元 DATA車名:ベンツ・パテント・モートルヴァーゲン年式:1885年製造:ベンツ&C.ライニッシェ・ガスモートレンファブリークエンジン:水平・単気筒・ガソリン・水冷弁装置:吸気弁-スライド式、排気弁-揚弁式総排気量:984cc最高出力:0.89馬力/400回転乗車定員:2重量:263kg

四ッ谷トンネル入口飾付兜

四ッ谷トンネル入口飾付兜

DECORATIVE CREST AT YOTSUYA TUNNEL ENTRANCE
1893年(明治26)、甲武鉄道(現在の中央線の一部)がわが国最初の都市鉄道として飯田町〜新宿間を建設したときに作られたものです。

1893年 東京美術学校(現在の東京芸術大学美術学部)製
「準鉄道記念物指定 昭和38年10月14日」

兜の形は、甲武鉄道の甲(兜の意味)にちなんで選ばれたもので、当時、四ッ谷トンネル南口上部に兜の正面、北口に兜の背面が掲げられ、乗客に親しまれていました。

昭和3年、トンネルは複々線工事のために取り壊され、兜は交通博物館に保存されることになりました。データ:高さ:1,350mm / 木型 山田鬼斎 教授全幅:1,250mm / 鋳造 岡崎雪声 教授