第28話【バンドってやつはさぁ】

サッカーが終わったので、学校祭に向けて、
放課後、連日、S口君の家に集まって、
あれやこれや学校祭ライブに向けて
打ち合わせ(ジャムセッション)が
始まっていました。
高校3年生なので、受験の事も
多少、頭に有りましたが、そんな事より
【ライブ】です!

メンバーはドラムにS口君、ギターにH田君に加え、
ヴォーカルに他にいろんなバンドでライブを
やっていたT橋君、そして、サイドギター&キーボード担当の
M木君。

まずはレパートリーを決めるのですが、
自分もレパートリーのリクエストを出しました。
当時は高校生のバンドでも、ライブの盛り上がり所は
ギターソロ、ドラムソロ。
でも、ベースソロまでやってる人はあまりいなかったので、
自分はベースソロをやりたかった。

当時、ベースソロが入ってる曲で好きだった
曲が2曲あって、悩みました。
1曲はスタンリー・クラークの
「I Wanna Play For You」から
「My Greatest Hits」
もう1曲はフリーの
「Mr.Big」でした。

フリーのMr.Bigは曲の構成の中での
ベースソロという感じだったけど、
スタンリー・クラークの
「My Greatest Hits」はベースソロの
ための曲という感じだったので、
こっちの方が盛り上がるかなと思って
この曲に決めました。

演奏する曲も決まって、ほとんど毎日、
放課後、S口君の家に集まり、
練習をしていました。

そんなある日、問題事が・・・

ドラムのS口君が「停学」になった。

自分の通っていた高校は割と
お行儀が良いというか、
入学してから、3年間一度も停学に
なるような生徒が居なかったのだが。

ドラムのS口君は応援団の団長も務める
ちょっとツッパリ気質の入ったヤツで
気が緩んでいた後輩にちょっと
お仕置きをしてしまったらしい。

さすがのS口君もちょっと
落ち込んでしまい、もう少しで
学校祭なのにバンドの方に
身が入らないらしい。

放課後、いつも皆がたむろってた
一人暮らしの下宿住まいのヤツの
部屋に集まって話をしていた時に
S口君が「学校祭には出ない」と
言い出した。

じゃ、「誰がドラム叩くんだよ」と
自分が言うと
「K谷内にでも叩かせればいいだろ」
と言う。

K谷内君というのは同じ高校の同級生で
ドラムを叩いていた子である。
実際に演奏をしているのを聞いた事は
無かったのがある程度は叩けるのは
知っていた。

S口君の言葉を聞いた瞬間に
何か、自分の中で感情がはじけてしまって、
「おまえがドラム叩かなきゃ意味が無いんだよ」
他にも何かいろいろ言ったような気がするが、
覚えていない。

自分はその頃、あんまり感情を表に出さないような
タイプだったので、S口君もちょっと
ビックリしたような感じだった。

長い沈黙の後、S口君は
「おまえがそんなに言うなら、やっぱり、学校祭出るよ」と
言ってくれた。

その後、何で自分はあんなに
感情を表す事が出来たのか不思議だった。
本当は自分は感情の起伏が激しい人間
なのかもと思った。
そういう状況にならないと本来の感情が
出ないのかもと・・・

まあ、なにはともあれ、S口君が
ドラムをやってくれる事になって
学校祭に向けて練習も盛り上がってきました。

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