第16話【なかなかうまくいかないもんだ】

他の3人はビートルズがやりたかったので、
何週か前に楽譜をもらっていました。
一応、何曲か合わせてみようと言う事だったので、
課題曲は弾けるように練習はしていました。

用意が出来たので、じゃ、早速やろうと言う事で、
演奏を始めたのですが・・・
「何か、もう一人のギターの音が変だ」
よく聞くと、チューニングがめちゃくちゃ。
一旦、演奏を止めて、チューニングを確認する。

何でも、自分の耳で適当に合わせたらしく、
ちょっとづつ、音がズレていて、
微妙に気持ち悪い音になっていました。
とりあえず、自分のチューニングメーターで音を
合わせました。

とりあえず、もう一度合わせようということで、
演奏を始めたのですが・・・
「今度はドラムのリズムがおかしい」
右足と左手が同時に動いている。
いや、そういうフレーズだったら、構わないんですが、
普通の8ビートで、右足でバスドラを踏むと、
つられて、左手でスネアを打ってしまう事がある。

「ちょっと見てて」と言って、
簡単な8ビートを叩いてみせてあげると、
「お〜っ」とか言ってる。
こっちは「え〜っ」ですよ。
聞くと、まだ、買ってからあまり時間がたってないので、
あまりうまく叩けない、ということだった。

ん〜、というか適正の問題のような気もするが。

ベースの人はまだ多少まともだったが、それでも、
妙にリズムの乗りが悪いと言うか・・・

もう、その日は曲を演奏するのは無理だったので、
ドラムの人に8ビートの叩き方を教えたり、
ギターの人にコードの弾き方を教えたりで終わってしまった。

実は自分もKISSの楽譜を持って来ていて、
今度はこれをやろう、と言うつもりだったのだが、
とても渡せる状態ではなかった。

結局、この4人で二度と一緒に演奏する事はなかった。
高校受験も控えていたので、中学3年はその後、
何も起きなかった。
めでたく高校も受かり、春になって高校に入学した。

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